【第1回】 未来を切り拓くワイン技術者のオーストラリア研修記
未来を切り拓くワイン技術者のオーストラリア研修記2016年04月07日
シャトー・メルシャン 製造部製造課
牧野 修治
2015年5月より参加している山梨大学のワイン・フロンティアリーダー(日本ワインの未来を切り開くワイン技術者)養成プログラムの一巻として、2月後半の1週間程オーストラリアのアデレードでワイナリー研修に参加してきました。
それまで私が持っていたオーストラリアワインのイメージといえば高アルコール且つオークチップの利用(高価なオーク樽を使用した発酵・熟成ではなく、オーク樽の代用品としてオーク材の切り屑を袋詰めしたものをタンク内のワインに漬け込み同様の風味をもたらす手法)などによる厚い化粧を施されたワインというイメージであり、洗練されたオーストラリアワインというものはほんのごく一部だと思っていました。
訪問したワイナリーはオーストラリアの行政機関であるワイン・オーストラリアにアレンジメントして頂いたのですが、どのワインも個性的であり、高品質であることに加えてテイスティングしたワインの柔らかさに大変驚きを覚えました。
研修ではワインの教育機関であるアデレード大学の醸造施設なども見学することができました。
私自身、カリフォルニアのUCデイヴィス校でワイン醸造・ブドウ栽培を学んだ後にワイン会社に就職した経歴がありますが、現在参加している山梨大学のプログラムと比較してもアデレード大学は卒業後にワインの醸造現場で即戦力となるような人材育成を行っていると感じました。
実際にアデレード大学ではグループワークを重視し、1トンの原料ブドウから目指すスタイルのワインにまで醸造するという実践的な醸造に関する教育、並びに実際のワイナリーでの作業経験を大学カリキュラムに組み込んだ教育プログラムが編成されているようです。
このような実践的なワイン醸造を経験できる教育機関は数少ないのではないかと思いました。アデレード大学での見学を通して、オーストラリアをはじめとする新しいワインスタイルの息吹はアデレード大学のような教育環境から生まれているような気さえしました。
次からは、3回に分けてワイン技術者のワイナリー訪問記をお届けします。
著者について
シャトー・メルシャン製造部製造課
牧野 修治
ワインメーカーの登竜門とされ世界でも屈指の栽培醸造学科カリフォルニア大学デイヴィス校ブドウ栽培醸造学科を2009年に卒業。
2012年4月にメルシャン株式会社シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーに勤務。