【第1回】 フランス留学記 ― ワインの国で考えたこと
フランス留学記 ― ワインの国で考えたこと2016年04月07日
マンズワイン
西畑 鉄平
2013年からブルゴーニュで1年半、2014年の秋からボルドーで暮らしていますが、フランスでも毎年気候が違います。例えば2013年は驚くほど雨の多い春でしたし、2015年はとても暑い夏でした。降雨量や積算温度を数字的に見ても日本より多い時もありますし、もちろん少ない時もあります。
農薬散布に関しても気候の良い年は10回以下の時もありますが、15回散布などはザラで、ボルドーでは20回以上なども聞きます。農薬散布に使われるトラクターが垣根栽培に最適化され効果的に散布できるものでもこのような回数が散布されています。また収穫が雨の中行われることも多く、2015年のメドックでは収穫期間中ほぼ毎日雨が降っている時間があったのではないかと感じました。ぶどうの収穫は日本の方が丁寧ですし、状態も健全で、分析値的にも一般的に見れば優れていることも多いですが、ワインにしてみると違うんですね。基本的な醸造のテクニックや機材などは日本と変わらないか日本の方が良いものを使っていることも多いです。このような光景を目の当たりにすると「日本の気候だから難しい」という言い訳はもう忘れなければいけない言葉だろうと改めて感じています。
畑の選び方、管理の仕方、収穫時期の決め方などのぶどう栽培がワインの仕上がりに与える影響がとても大きく、醸造技術が成熟してきた現在、醸造の仕事は造り手の「遊び」の部分であってワイン造りの本質はやはりぶどう作りにあるのでしょう。
著者について
マンズワイン
西畑 鉄平
山梨大学医学工学部総合教育部修士課程卒。ワイン科学研修センターで卒業論文、修士論文の研究に没頭後、キッコーマンに入社。マンズワイン勝沼と小諸の両ワイナリーに勤務。2013年よりフランスに留学、現在ボルドー市郊外に家族で滞在、ボルドー大学栽培醸造学部在学中。