【第2回】 フランス留学記 ― ボルドー大学でのテイスティングの授業
フランス留学記 ― ワインの国で考えたこと2016年05月10日
マンズワイン
西畑 鉄平
私の通っているエノログ(醸造技術者)コースはほとんどの学生がワインを学び(飲み)始めたばかりなので、本当に基礎から授業が始まります。
1年目のテイスティングの授業はワインに含まれるアルコールや酸、糖分などの味や主に酸化したワインなどに感じられるアセトアルデヒドや酢酸、ソトロンなどのワインの欠陥臭を中心に覚えるなど。フランスの大学におけるワインのテイスティングということで、さぞかし良いものが出てくるのかといえばそんなことは全くありません。欠陥臭以外の普通のワインのテイスティングにも酸化しているなど状態が悪いものなども散見されました。欠陥を探すのがエノログの一つの仕事なのでそれも勉強のためには良いのかもしれませんが、正常なワインを知らずして欠陥を見つけるのは難しいでしょう。
テイスティングの授業を担当する何人かの先生の中でアクセル・マルシャルという若い先生はワインに甘さを与える物質を特定するなどの研究もうまくいっている上、ワインに対する情熱も素晴らしく、授業を聞いていてとても面白いのです。例えば技術者としての立場を保ちながら、科学分析的に原理が解明されていない栽培方法であるビオディナミやワインの表現の一つである “ミネラル感“という表現に対しても否定することなく理解しようとしているように感じます。一方であまり収穫のない先生の授業もあるので、フランスだからといっても必ずしも最高の授業がうけられるということではないと感じています。
著者について
マンズワイン
西畑 鉄平
山梨大学医学工学部総合教育部修士課程卒。ワイン科学研修センターで卒業論文、修士論文の研究に没頭後、キッコーマンに入社。マンズワイン勝沼と小諸の両ワイナリーに勤務。2013年よりフランスに留学、現在ボルドー市郊外に家族で滞在、ボルドー大学栽培醸造学部在学中。