【第3回】 未来を切り拓くワイン技術者のオーストラリア研修記

シャトー・メルシャン 製造部製造課
牧野 修治

アデレード研修中には幸運にも(日本には輸入されていないワインですが)Jacob’s Creek Steingarten Riesling 2013を、そのブドウが栽培されている畑を目の前にしてテイスティングする機会に恵まれました。海外のワイナリーでは併設する自園のヴィンヤードを目前にしてテイスティングすることが少なくないと思いますが、このJacob’s CreekのSteingarten Vineyardはワイナリーから離れた丘の上にあり、またピクニックを行うようなスペースもあるために解放感と共に何とも言えない感慨深い気持ちでした。

収穫後であったためにその果実を見ることはできませんでしたが、乾燥した急勾配の丘に胸から頭ほどの高さに整えられた細々としたリースリングの枝は広大なオーストラリアの大地から想像させられるような大柄のワインではなく、谷風が強く吹き上げる過酷な環境であっても岩でゴツゴツした斜面の地中深くに根を伸ばそうとする生命力を感じるワインでした。クリスプでハツラツとした酸味、青リンゴやレモンの皮などのアロマ、そして仄かに緑がかった色調が春の芽吹きを連想させる生命力に溢れたワインでした。

著者について

シャトー・メルシャン製造部製造課
牧野 修治

ワインメーカーの登竜門とされ世界でも屈指の栽培醸造学科カリフォルニア大学デイヴィス校ブドウ栽培醸造学科を2009年に卒業。
2012年4月にメルシャン株式会社シャトー・メルシャン勝沼ワイナリーに勤務。