【第3回】 フランス留学記 ― ワインをとりまく環境
フランス留学記 ― ワインの国で考えたこと2016年07月22日
マンズワイン
西畑 鉄平
先日、日本でいうところの日本ブドウ・ワイン学会(ASEV Japan)のようなボルドーのエノログ(ワイン醸造技術者)協会が主宰するエノログの集い(Matinée des œnologues)に参加する機会がありました。
醸造設備を開発している会社、ぶどう栽培に関する研究、ワイナリーからの排水処理からマーケティングの学校の先生まで様々な分野の専門家の発表が行われました。
特に印象に残ったのが、フランスでも問題になっている農薬使用量の問題に対して、公共の研究機関が積極的に農薬使用量を減らそうと考えていることです。
より環境負荷の低い農薬の探索から、より効果的な農薬散布の方法などの研究、また、農薬の使用量の低減目的や温暖化の影響により、一度は見放された交配品種もこの視点から再度注目を浴びています。
新しい品種の模索にあたっては、昔の選択方法や方向性とは違っているのでより効果的に素早く選抜されるのではないかと感じています。
この栽培品種の変化が実現していけば(特にフランスでは)とても大きな変化になると思います。
酸化防止剤として使う亜硫酸の使用量低減志向や、温暖化等の影響を受けて糖度が上がりすぎるぶどうの過熟化傾向に対応するべく新しい醸造資材も開発されていて、ワインの直接の生産者だけでなくそれに関わる様々な業種の人たちも環境や市場の変化に対応しながらワイン造りが続いていくのだなと感じます。
もちろん様々な変化に対応していかなければいけないのはすべての世界に言えることだと思いますが。
著者について
マンズワイン
西畑 鉄平
山梨大学医学工学部総合教育部修士課程卒。ワイン科学研修センターで卒業論文、修士論文の研究に没頭後、キッコーマンに入社。マンズワイン勝沼と小諸の両ワイナリーに勤務。2013年よりフランスに留学、現在ボルドー市郊外に家族で滞在、ボルドー大学栽培醸造学部在学中。