【第4回】 フランス留学記 ― 産地による違い
フランス留学記 ― ワインの国で考えたこと2016年09月16日
マンズワイン
西畑 鉄平
フランスも大きな国なので場所によってぶどうの品種も違えば、醸造方法も違います。特に面白いのが、二大有名産地であるブルゴーニュとボルドーでは考え方が全然違うことです。
例えば、ブルゴーニュではアルコール発酵期間は長いほうが良いとされていて、どうやって長引かせるか考えていますが、ボルドーではできるだけ短いほうが良いと考えています。乳酸菌がリンゴ酸を乳酸に変えるマロラクティック発酵もブルゴーニュでは冬の間一度眠りについた乳酸菌が春の暖かさとともに目覚めその後に終わることも多いのに対して、ボルドーではアルコール発酵後すぐに終わるように管理します。
ブルゴーニュは補糖をすることも多いのでそれに関するテクニックも特有なものがあります。ボルドー大学の先生に言わせると、ブルゴーニュの手法は品質が下がるリスクが高くなるだけだということですが、実際のワインは品質が良く感激するものも多いので一概には言えないのになぁと私は思っています。
一方、ボルドーならではの仕事がプリムールという先物取引き用の特別キュヴェを作っているところが多いということです。前年の秋に仕込んだワインを翌年の4月に試飲しジャーナリストや仲介業者が評価、価格付けをするのがプリムール試飲です。まだまだワインが仕上がっていない段階で、仕上がりをイメージしたワインをブレンドする必要があるので醸造担当者の腕の見せ所と言えると思いますが、実際に出来上がるものとは違うということに個人的には違和感を覚えます。。
著者について
マンズワイン
西畑 鉄平
山梨大学医学工学部総合教育部修士課程卒。ワイン科学研修センターで卒業論文、修士論文の研究に没頭後、キッコーマンに入社。マンズワイン勝沼と小諸の両ワイナリーに勤務。2013年よりフランスに留学、現在ボルドー市郊外に家族で滞在、ボルドー大学栽培醸造学部在学中。