パネルディスカッション「メルローのワイン醸造について」
ワークショップ2020年03月13日
2020年2月17日
フクラシア東京ステーション
日本ワイナリー協会 メルロー・ワークショップ
第2部レポート
パネルディスカッション
「メルローのワイン醸造について」
- 大泉 匡寛(月山トラヤワイナリー 取締役製造企画部長)
月虎メルロー2017 - 工藤 雅義(サッポロビール グランポレール チーフワインメーカー)
グランポレール安曇野池田メルロー2018 - 野田 森(井筒ワイン 醸造責任者)
NAC メルロー2017 - 篠田 健太郎(サントリー 塩尻ワイナリー長)
岩垂原メルロ2018 バレルサンプル - 勝野 泰朗(シャトー・メルシャン 桔梗ヶ原ワイナリー長)
桔梗ヶ原メルロー2018 バレルサンプル
- 茂手木 大輔(本坊酒造マルス山梨ワイナリー 製造係長)
第2部のパネルディスカッションでは、メルローの一大産地の塩尻を中心に、昨年注目を浴びた山形と各地で醸造に携わるパネリストから、各社のワインをテイスティングしながら造り方や考え方をお話しいただいた。
- 月山トラヤワイナリー
元々は日本酒の酒蔵を45年程前にワイナリーにした。建屋は江戸時代末期に作られたもので、築160年にもなるため、ワイン製造は少しやりづらい部分もある。
試飲ワインは月虎メルロー2017で自社畑のメルローと天童市の契約農家の物を使っている。トラヤワイナリーのフラッグシップで、樽熟成したメルローの中で品質の良いものだけで作っている。ヴィンテージによっては作らない年もある。
西川町にある自社畑(稲沢ヴィンヤード)は30a、垣根仕立て雪対策で第一線を地上から120cmにしている。冬は枝が折れないよう、雪下ろしをしている。また、メトキシピラジンを減少させる目的で、房周りは除葉している。ブドウは100%山形県産で2019年の仕込み量は約140t。
2018年に振動式選果台を導入しているが、それ以前は畑での選果に力を入れていた。日本酒の蔵を買い取ったことあり、ホウロウタンクがほとんどで一部ステンレスタンクがある。主に白の発酵タンクにはステンレスを使用し、赤の醸し発酵は開放型のホウロウタンクで行っている。
2019年の日本ワインコンクールでメルローとベーリーAで2つ金賞を頂いた。
トラヤワイナリー:自園メルロと稼働中の選果台
- サッポロビール グランポレール
グランポレールとしては年間3万5千箱ワイン製造するなかで、勝沼のワイナリーではそのうち5千箱を製造している。勝沼のワイナリーコンセプトは価値のあるブドウに十分手間を掛けること。
除梗し選果した後破砕を行う。破砕は破砕ローラーの間隔を調整して、皮の一部に少し傷がつく程度にしている。理由としては発酵を遅くするため、皮由来の質の低いタンニンを出さないようにするため。タンクへの輸送はチューブポンプ、搾汁機はメンブランプレスを使用している小さいタンクが多いのが特徴で1KL、2KL、5KLのタンクがある。赤ワインの醸しタンクは酸素の調整が行い易いように、蓋つきの開放タンクを使用している。一番収穫が遅いCSは10月の下旬~11月上旬で、外気が低く、発酵熱だけでは不十分な場合が出てくるため、加温ヒーター付きのタンクもある。醸し発酵させる際は、仕込み量に合わせてタンクの大きさを変え、出来るだけ液深を取るようにしている。パンチダウン、ポンプオーバー(必要に応じてエアレーション)、ポンプオーバー用の固定配管もあるが、醗酵中は衛生管理が難しいため使用していない。
樽熟成は樽入れし、不必要な酸化を防ぐため、オリ引き(翌年の夏)まで動かさない。オリ引きの際に亜硫酸調整を行い、再び樽に戻して約半年熟成させる。
グランポレール勝沼ワイナリー:果粒選果とパンチダウン
- 井筒ワイン
日射量の全国分布をみると、長野は日射量がかなり多い地域になっている。日射量だけでは良いか悪いかの判断はできないが、快晴が多く、放射冷却による夜間の温度低下が望める地域。
試飲ワインは樽を使用していないベーシックなメルロー。720ml換算で5万5千本生産しており、約55tのブドウを使用している。塩尻市内全域のブドウを使用し、樽もオークチップも使用していない。棚仕立て一文字短梢で、品質を保ちつつ、収量を確保するため手間は掛かるが、塩尻市の契約農家はこの仕立てになってきている。自社の新設圃場は垣根仕立て、2m間隔のギヨダブル。
2019年のメルローの入荷は110tであり、ベーシックレンジの商品は一回の仕込みは10t~12tと多い。そのため、醗酵前の果汁はタンクのサンプリングする場所で異なるので、pHは測定していない。抽出管理はパンチダウンでは無理なので、ポンプオーバー。
プレミアムレンジでは、ステンレスの開放タンクで醗酵させる。マセレーション終了後翌日には樽に入れ、すぐさまMLFさせる。樽熟成は約18ヵ月で、その間オリ引きは一度もしないが、亜硫酸管理は樽個別で行って、トッピング(樽を満量にする作業)も行う。
井筒ワイン:自園のメルロとタンク
- サントリー塩尻ワイナリー
塩尻ワイナリーは1936年設立、元々は塩尻市のコンコードから赤玉ポートワインを製造するための基地であった。1980年代から、メルローやマスカットベーリーAの栽培をするようになり、2000年代後半に日本ワインの製造を主軸にするようになった。
試飲ワインの岩垂原メルロ2018(バレルサンプル)は、桔梗ヶ原の対岸の岩垂原のメルローを使用している。現在はまだ樽熟成中であり、樽熟成を18ヶ月間程度行ってビン詰め予定。
製造設備は2013年に改築した建屋にある新しい設備と創業当初からの設備や建屋も併用して使用している。
新しい設備は、品質的なポテンシャルが高いワイン製造に使用している。特徴としては、選果台を2か所に設置し、房選果と除梗後の粒選果の2段階の選果をおこなっている。ブドウの状態により、選果スピードや房選果と粒選果の人員配置を変えている。選果したら軽く破砕してタンクに送り、醗酵させる。畑ごとに仕込めるように、比較的小さいタンクを導入している(3~5KLタンクや1~2KLの移動式タンク)。
ワイン醸造ではブドウのポテンシャル以上のワインは出来ないので、いかにブドウのポテンシャルを損なわないようにするかを中心に行っている。赤ワインの抽出テクニックとして、ポテンシャルの高いものはデレスタージュを一回行う。発酵中はルモンタージュ、ピジャージュを行う。コールドマセレーションに関しては、可能な場合はブドウを一晩冷やして仕込みを行い、その温度のまま一晩おくため、軽く行っているイメージ。
古い設備として1937年の半地下式の樽熟庫は今でも使用している。
サントリー塩尻ワイナリー:選果の過程
- シャトー・メルシャン桔梗ヶ原ワイナリー
1938年にメルシャンの前身である大黒葡萄酒が現在の場所に設立した。甘味果実酒用の原料製造が主体であったが、その需要がなくなりおよそ平成の間の30年間閉鎖していた。
2018年に桔梗ヶ原ワイナリーとして昔の設備をリノベーションして醸造を再開した。開業当初の建屋が2棟あり、それぞれを醸造棟と樽育成庫として利用している。
試飲ワインは2018年に醸造したメルローのバレルサンプルで、桔梗ヶ原メルローになる予定だが、最終製品ではない。樽熟成の期間は18ヶ月間を予定している。
メルローは、塩尻市内の契約農家と自社管理畑の約70tあるうちの20tを桔梗ヶ原ワイナリーで仕込んでいる。桔梗ヶ原ワイナリーの設備は良い赤ワインを作るためだけを考えて導入した。
醸造作業の中で選果を一番重要視している。メトキシピラジンの原因となる、青いパーツ(梗)をとっている。1tの仕込みを行うのに約90分かかる。選果が終わるとグラビティーで半地下の移動式タンクへ落とす際に破砕機を通すが、破砕ローラーを広げて、ほとんど破砕はしない。移動式タンクに受けたブドウは、フォークリフトで発酵タンクに重力で落とす。タンクの容量は2~3KL。
発酵前にルモンタージュして抽出を促す。無破砕のため、比重が中間を過ぎたころにピジャージュを5回くらい行い、少しずつ果実を潰していく。ルモンタージュは一日3回(5分程度)、ピジャージュは1突きずつ丁寧におこなう(5分程度)。アルコール発酵終了後は一晩掛けてフリーランワインを抜く。タンクに残った果皮などは、フォークリフトとコンベアーを使ってプレス機に入れてプレスランワインを回収する。すぐに樽に入れてMLFを行う。
シャトーメルシャン桔梗ヶ原ワイナリー:仕込みの工程
【パネルディスカッション】
茂手木:栽培面からのメトキシピラジンのコントロールは?
井筒:自社畑の場合は除葉、契約の場合はコントロールできないため、ヴィンテージの差がある。
サントリー:特効薬はない。基本的には除葉、収穫期判断(出来るだけ完熟)、優良な契約農家の場合は面積契約をしているため、収穫期を遅らせるリスクを会社で負担する。
茂手木:仕込みの破砕に関する考え方は?
サッポロ:粒の一角に傷がつく程度。無破砕でしてもいいが、ポンプを使うため潰れてしまう。弱く破砕するメリットは発酵がゆっくりになること、果皮由来の質の悪いタンニンの抽出を抑える。
メルシャン:狙っている効果としては発酵期間を長くするための手段。科学的な説明はできないが、無破砕で仕込むことで、果実の中でなにかが起っているような感覚があり、果実の香りが豊かになる。余計な傷をつけないことで、繊維や不要なものが少なくなり、オリ引きだけで濾過をしなくてよくなる。
井筒:出来るだけ破砕しないようにするが、タンクへの移送距離が長く、その間に潰れてしまうため、結果的に破砕はしている。
月山トラヤ:破砕は弱めにして、チューブポンプで移送するが、やはり潰れてしまう。
茂手木:抽出について?(悪いところは出さない?引き出せるだけひきだす?)
井筒:アルコール発酵後の漬け込みは種のタンニンを引き出すかどうかだと個人的には考えている。早飲みのタイプはアルコール発酵後すぐにプレスする。仕込みから一週間で終わらせる。プレミアムレンジに関して半分は一週間、アフターの余韻を伸ばすために三週間漬け込むロットもあり、ブレンドで調整する。
月山トラヤ:ロットによってはアルコール発酵後一週間漬け込む場合もある。質の悪いロットはネガティブな部分を出さないように早めにプレスする。
茂手木:酵母に関する考えは?
メルシャン:白ワインの場合は香りが重要になるため、酵母の選択をする。赤ワインの場合は酵母による香味のふり幅は重要視していない。やはり大切なのはブドウであり、健全に発酵が終われば良い。酵母に求めることは、発酵が早いか遅いか。全てのタンクに乾燥酵母を入れるわけではなく、最初のタンクから株分けして使用している。理由としては、発酵スピードを遅らせるため。
井筒:乾燥酵母を多種使用している。酵母によって少しでも個性を強調できるのであれば、追求すべき。発酵特性やフレーバーで自分の好みの酵母を選択していくと、ボルドーで分離された酵母ではなく、カルフォルニアやイタリアの酵母が多い。
茂手木:酵母添加のタイミングは?
サントリー:乾燥酵母を使っている。酵母の種類は赤品種では選定していた時期もあったが、あまり顕著な差が見られなかったので今はしていない。添加のタイミングは仕込みが終わったら添加している。モロミの上部から添加し一晩で広がるようなイメージ。
サッポロ:ブドウをタンクに入れてその日のうちに添加する。入れた後はパンチダウンして酵母を均一にする。理由は酢酸エチル生成のリスクを回避する。必要があれば加温して発酵の立ち上がりは早くしている。
井筒:プレミアムレンジは、3tの仕込みのため、上から酵母を加えてパンチダウンする。10tを超える仕込みの場合は上から添加するのはリスクが高い。なるべく早く発酵させたいので、仕込み時に亜硫酸を添加しない。ブドウをタンクに送っている時に、75ppmずつ2回に分けて酵母を添加している。
メルシャン:発酵が始まるのを遅くしたい。酵母添加は比重が落ち始める時に添加する。だいたい2~3日かかるため、その間ブドウを健全な状態で保つために、仕込み時に亜硫酸を50ppmくらいしっかり入れる。
茂手木:MLFについては?
トラヤ:山形は寒くなるのが早いので、コイノキレーションを採用している。酵母添加した翌日に乳酸菌を添加している。MLF終了のタイミングは酸をみて決めている。
サッポロ:レギュラー品はコイノキュレーションしているが、プレミアムレンジはしていない。条件がたくさんあるため、断定はできないが、着色の悪いブドウでコイノキュレーションすると色の抽出が悪くなるイメージがある。
井筒:ベーシックレンジでのMLFは資材コストが掛かりすぎるため、初めに小ロットのタンクでコイノキュレーションしたものを大きいロットを仕込んだ際に株分けし、コストを抑えている。プレミアムレンジでは、比重が1.020~1.000の間で乳酸菌を添加している。
サントリー:コイノキュレーションとシーケンシャルを使い分けている。シーケンシャルの方がワインの香味が良くなるという話もあるのでプレミアムレンジではシーケンシャルを採用している。
茂手木:プレスについての考え方は?
メルシャン:無破砕で仕込みをして、パンチダウンで実はつぶれるが、全部が潰れるわけではない。潰れていない実の中にはまだ糖分が残っている場合が多いので、残った糖分をフリーランワインに入れたくない。プレスランワインは絞った後も発酵している。
井筒:フリーとプレスは分けている。分けるタイミングはプレス機で圧力をかけながら味を見て決める。プレスはタンパク処理をしてブレンドで使用する。
サッポロ:フリーとプレスを分けていない。どちらかというとプレスカットをしている。 未熟なブドウだと最後にすごく苦い成分が出てくるので入れたくない。
茂手木:熟成管理でオリ下げするのか?
メルシャン:赤ワインではオリ下げは必須ではないと考えている。最終的に瓶詰の前のワインをみて判断する。ハイレンジのワインには時間はかかるが卵白を使用して、オリ下げしている。しかし、昨今のアレルギー表示の問題もあるので、今後の方針を考えている。卵白を入れたら1~2カ月は静置させる。他のオリ下げ剤に比べると沈降スピードが圧倒的に遅い。
井筒:以前はタンパク除去剤を使用していない時期もあったが、やはり瓶詰め後にオリが出ることが多かったので、現在は使用している。卵白ではなくリキッドタイプのオリ下げ剤を使用している。プレミアムレンジのものは樽出し後のタンクに添加している。ビン詰めの2週間前に添加して、上澄みは無濾過、底に溜まったものは濾過して合併している。
サントリー:卵白を使用している。卵白を添加したら2カ月は置くようにしている。今後、ハサップの取り組みも始めていくので、代わりになるもの検討している。
茂手木:温暖化、気候変動でメルローとの付き合い方はかわったか?(実感・味・対策など)
井筒:温暖化の影響かわからないが、2015年以降、萌芽、開花はかなり早くなっている。それに合わせて収穫も早くならざるを得ない状況になってきている。開花が早いと、まだ夜間気温が暑いうちに熟期を迎えてしまうので、かなりデメリットとなる。ブドウも糖が上がらず、酸が落ちてしまうため、必然的にワインへの影響も大きい。また、樽熟成するワインのpHが高くなってブレタノマイセス汚染のリスクが非常に高まるため、補酸もすることがあるが、補酸をすると長野原産地呼称の認定が取れないという問題もある。
サントリー:温暖化の影響でブドウの成熟が早くなっているかどうかは、判断できないが、2015年以降は春先の天候が温かく、生育が早くなっている。塩尻のメルローに関して言えば、熟しやすくなっている好条件の面もあるが、一方で、晩腐病の増加や夜温の上昇から色付きへの影響も懸念される。
メルシャン:温暖化の影響とは決定できないが、ここ数年適熟を待って収穫が出来ていない。雨の影響も重なって、収穫を伸ばせない状況が続いている。一方で、メリットもあり、塩尻は冬場の冷え込みでブドウの樹が眠ると言われた現象が減ってきている感じもある。
サッポロ:収穫はpHを重要視しているので、やはり収穫期は早くなっている。
トラヤ:山形でも収穫期は少し早くなっている。
茂手木:メルローの将来性についてどう考えているか?
サッポロ:メルロー一辺倒になる必要はない。メルロー産地特性が広くて、栽培のしやすい品種であるが、日本中メルローになるのはまた違うのではないか。ワインの楽しみとして、多様な品種と産地があることが良いと思う。自社では北海道でドイツ品種やピノノワール、安曇野ではSB、シラーも栽培している。
トラヤ:自社でメルローは増やしていく予定。山形の風土にメルローは合っている。
井筒:メルローは他品種に比べると安定しているので、優位性は大きい。契約栽培に関しては高齢化、後継者不足もあり確実に減っていくので、自社での生産を増やしていく考え。
サントリー:自社を中心にメルローを増やしていく予定。まだ、現状の品質に満足していないため、特に栽培面の取り組みを強化していく。一方で、メルローだけではリスクを感じるので、塩尻でメルロー以外の品種を探索していきたい。
メルシャン:一言でまとめるのは非常に難しいが、メルローの適用範囲が広いとはいえ、ブドウも植物なので、適地適品種の考え方が重要であり、日本すべてがメルローになる必要はない。一方で、塩尻はメルローのメッカのようになっているし、非常に塩尻に適しているので、メルローを核にしていきたい。しかし、自社管理畑をすべてメルローにしてしまうと、すべての作業が同時になってしまうため、メルローだけを増やせないので、多品種を上手く栽培することが大切。
【質疑応答】
赤ワイン製造は、「味わい」「香り」だけでなく「色」が重要になってくるが、特に「色」を出すことが難しいと考えています。その3要素を両立させるための取り組みはありますか?
トラヤ:良い原料の収穫が前提であります。セニエという選択肢もありますが、色を濃くするというよりかは、薄くしないようにしてワイン造りをしている。フリーとプレスの切り替えのタイミングや、除梗破砕の際に梗を入れないことを念頭に置いている。
サッポロ:良い原料を使用すること。発酵温度の管理も重要で、発酵温度のピークを30℃越えないように出来るだけ高くすると抽出効果が高まる。色も大切だが、ワインのバランスも大切なので、頑張りすぎない事も大事。強く醸せば…強くプレスすれば…色も濃くなるがワインのバランスを崩すと意味がないと思う。
井筒:色はブドウ次第だと思う。醸造面で言えば、しっかり除梗して、過剰な抽出はやめて、ロングマセレーションはしない等、色が悪くなる要因になるものは排除していく。
サントリー:マジックはなくブドウ次第。色だけに着目して無理に抽出をすると、ネガティブな成分も強くなるので、切り分けて考えることはあまりしない。デレスタージュを初期にすると着色が良くなるという話もあるが、実証できない場合も多い。
メルシャン:ブドウの持つ色素の量に左右されるが、色の抽出だけ考えるのであれば、アルコール発酵が始まる前に7割以上抽出してしまう。アルコール発酵する前にルモンタージュし、色素の抽出を促す。
今回のディスカッションでは、各社の醸造法や考え方を詳しく説明して頂きました。モデレーター並びにパネラーの皆様ありがとうございました。
5社のメルローをテイスティングしながら、醸造家の皆様のお話を聞き、メルローの多様性と日本におけるメルローの可能性を実感することが出来ました。各ワイナリーの技術も惜しみなく教えて頂き、非常に良い勉強になりました。